知覚力を磨く③/比較してみる
美術館の展示をより楽しむ工夫として「もしも、今展示してある作品の一つをプレゼントしてもらえるとしたら?」という問いかけがあります。
1つの作品をそれぞれに鑑賞するのが王道ですが、ついつい比較してしまいます。
とはいえ、じっくりと2つの作品を比較してみるということもあまりありません。
今、名古屋市美術館で開催中の展覧会『西洋絵画の400年』では、国内屈指の西洋絵画コレクションが見られます(6月8日まで)。中でも珠玉の作品は、アントニー・ヴァン・ダイク作『ベッドフォード伯爵夫人 アン・カーの肖像』。昨年、静岡市で開催されたときのフライヤーの顔になっていました。
同作者のそっくりの作品がパリのルーブル美術館にも所蔵されています。
ルーブル美術館には1日では見切れないほどの作品があります。その中から2点を比較対象として選ぶのは至難のことですが、例えばこの2点を比較して観察してみてはどうでしょうか。
エイミー・ハーマンを参考にすると、知覚力を磨くときの観察ポイントは、自分の瞬間的な反応(第一印象)に意識を傾けることです。作者の意図はとりあえず脇に置いて、この2つの作品を見たときに自分の反応がどうか?ということに意識を傾けます。好き・嫌い、あるいは欲望(憧れなど)の感情をどちらの作品に感じるのかに注意します。
そして、自分がどう感じたかがはっきりとしたら、自分の感情について「どうしてそう思うのか」について洞察してみると、意外な発見があるかもしれません。
データ提供:ルーブル美術館
左:by Antoon van Dyck
© 2015 GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle
右:by Marie Guillemine Benoist
© 2021 GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Mathieu Rabeau
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