気になる論文/絵画で観察力アップ②

一つ前の記事でイエール大学発の絵画観察法を紹介しました。同じく1990年代にイエール大学に近いMoMA(ニューヨーク近代美術館)でも、新しい美術教育法(美術作品の鑑賞を通した教育方法)が開発されました。途中で担当者がMoMAを離れ、そのプログラムの開発に専念し、後にVTS(Visual Thinking Strategy)という鑑賞法が生まれました。VTSは商標登録されていて、一般的には対話型美術鑑賞法と言われます。

VTSは学校教育を受ける子どもたちを対象にしています。月に1度1時間程度のグループ鑑賞を年間に10回実施することで、全米共通学力基準(批判的に思考し、問題を解決し、論理を明確にし、他人の意見を傾聴し、説得力をもって話し、そして書く能力)に適応できる、学習態度が身に着くとされています。

前回のブログで紹介した論文にも「VTS」とあったように、観察の手法や手続きが違っても専門家のアドバイスに従って絵画鑑賞法を見に着けると、バイアスや思い込みの影響を低減し、客観的に、批判的に物事を考えることができるようになります。

イエール大学発の手法が「観察力を向上する」のを目標としているのに対し、VTSは「美術鑑賞によって人生を豊かにする」ことを意図している点が大きな違いです。

◆参考図書

『学力をのばす美術鑑賞』2015 フィリップ・ヤノウィン

◆VTSの考え方のベースとなる論文

『Art Viewing and Aesthetic Development: Designing for the Viewer』

Abigail Housen 2007

https://vtshome.org/wp-content/uploads/2016/08/2Housen-Art-Viewing-.pdf

◆VTSとニューヨーク・タイムスが協力して提供している参加型サービス

https://www.nytimes.com/column/learning-whats-going-on-in-this-picture

ニューヨーク・タイムスの紹介動画

https://www.youtube.com/watch?v=4j-JgXgaCX4

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