気になる論文⑦/脳トレ効果の是非
賛成・反対どっちも正しいとするのが無難だと思います。
一見矛盾するようですが、科学者によって、評価基準の要点・焦点が変わるので、結論だけをとって等価に比較することが難しいのです。
川島は、前頭前野の活性化を長年研究してきました。川島の実験の成果はおそらく本当のことだと思います。海外の学者の評価の焦点は、それ以外の部分への間接的な影響、能力の増進、不具合の改善です。鍛えた部位がある特定の作業に熟達するだけでは、効果があったとは評価しないという基準です。
どっちも正しいというのはそのことです。海外の評価と川島の研究では焦点が違うように感じられます。海外の学者が指摘することが正しいとして、前半部分「ある特定の部位が活性化するだけ」であっても、前頭前野は脳の知的活動の司令塔なのだから、脳全体がきびきびと動くようになる「だけ(!?)」なのです。脳全体の司令塔「だけ」がきびきびと動くということはないだろうから、私は脳トレをしたら良いと思っています。
◆脳トレに効果あり/川島隆太
『Dorsolateral Prefrontal Cortex Activity during a Brain Training Game Predicts Cognitive Improvements after Four Weeks' Brain Training Game Intervention: Evidence from a Randomized Controlled Trial』2020
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32824185/
◆脳トレは効果なし/海外の科学者グループ
『Do "Brain-Training" Programs Work?』2016
Daniel J Simons
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