脳トレについて/まとめ
2024年末から年明けにかけて、脳トレに関する本を10冊ほど読みました。精読したのは2冊程度ですが、大まかなことは理解できました。
脳トレ研究で有名な東北大学の川島隆太教授の『子どもたちに大切なことを脳科学が明かしました』『本を読むだけで脳は若返る』『認知症の脳もよみがえる 頭の体操 』、生田哲『脳地図を書き換える』、ジェームズ・グッドウィン『最強脳のつくり方大全』がとても参考になりました。
結論としては、ジェームズ・グッドウィンが本のおわりに私的な助言として上げている3つのことが腑に落ちた感じです。①運動をすること ②サーカディアンリズムを守ること ③コミュニケーションを保つこと。グッドウィンの視点、考え方の基本は、脳のコンディションは生活習慣に依存するということです。
同じことを川島も述べています。「早寝」「早起き」「朝ごはん」が大切です。川島はそれに加えて「読書」を進めています。2分間の音読は、脳の全身運動になると述べています。
人の脳は、大脳(前頭葉・頭頂葉・後頭葉・側頭葉)、小脳、脳幹に大きく分かれ、また大脳の右脳・左脳をつないでいる脳梁の中に大脳辺縁系があり、それぞれの部分が独自の役割をもち、連携することで、複雑な情報処理を素早く行っています。
脳の全身運動というのは、脳の各部位を効果的に連携させて活動させられるということです。視覚を通じて文字を把握し、音に変換して読み上げ、耳で聞く、その過程全体で内容を具体的にイメージする。このよう脳全体が活性化するということです。
海外の研究者の本では、概して脳トレ(ゲームやパズル)の効果に否定的ですが、その理由の1つが「習慣化」にあります。あるゲームやパズルのやり方が上手になることはあっても、他の能力が高まることがないというのです。それには一理あります。川島も多くの脳トレゲームは、前頭前野を活性化しないと指摘しています。
川島の提案するドリルの類を見ると、脳トレのポイントが3つはあるように思われます。①「単純な掲載」②「簡単な暗記」を毎日やること。3つ目は海外研究者の研究を参考に③「動作の要素を加えること」です。計算の答えを右手で書いている最中に、左手で「グー・チョキ・パー」の3つの形を繰り返すといった具合です。
私がもっとも重要だと思ったのは、生田の『脳地図を書き換える』という本のタイトルが表す内容そのものを、信じられるかどうかということです。脳の細胞が再生されることが科学的にはっきりしてきたのは1990年代のことです。80歳になっても脳が可塑性を失わない。ということを信じる人とそうではない人では、脳トレの効果は違ってくるでしょう。思い込みによる効果があることが心理学の世界で知られています(プラセボ効果・偽薬効果)。
運動については、『運動脳』アンデシュ・ハンセンが詳しく述べています。最大心拍数([220-年齢]x0.7)で45分間のランニングを週に3回すると脳にとってはベストと述べています。『最強脳のつくり方大全』ほか、中之条研究やクワオルト・ウォーキングなどの事例を加味して考えると、週に5回30分2kmのウォーキングがとりあえずの目標(目安)として妥当だと思います。
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